○天草市議会基本条例

平成24年3月29日

条例第24号

目次

前文

第1章 総則(第1条)

第2章 議会及び議員の活動原則(第2条―第4条)

第3章 市民と議会の関係(第5条―第8条)

第4章 行政と議会の関係(第9条―第11条)

第5章 議会の機能強化(第12条―第15条)

第6章 議会及び議会事務局の体制整備(第16条―第19条)

第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第20条―第22条)

第8章 最高規範性及び見直し手続き(第23条―第25条)

附則

天草市議会(以下「議会」という。)は、主権者である市民の多様な民意の反映に努めるとともに、合議体としての役割を発揮すべく、しっかりした議論を重ね、議会の活性化を通じて、市民の福祉向上と地域振興に貢献していかなければならない。

そこで、議会は、立法機関としての真価を発揮するとともに、二元代表制の一翼を担うにふさわしい活動が強く求められ、議会とその構成員である議員の果たすべき使命は、ますます重要となっている。

よって、ここに、議会は、市民に十分に認知され、活用される地方自治の骨格機関となるべく、市民と議会との約束事として、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、市政の情報公開と市民参加を原則とした自主自立の分権時代にふさわしい市民に身近な議会及び議員の活動の活性化と充実のために必要な議会に関する基本事項を定め、議会及び議員の役割、行動指針等を明らかにすることにより、市民の負託に応え、住みよい天草市の実現を目指して、「安心して住み続けられる郷土(まち)づくり」に寄与することを目的とする。

第2章 議会及び議員の活動原則

(議会の活動原則)

第2条 議会は、市民の代表機関として、次に掲げる原則に基づいて活動するものとする。

(1) 市民を代表する議決機関として、公正性及び透明性を確保し、市民に開かれた議会を目指すこと。

(2) 政策決定及び市長その他の執行機関の事務について、監視及び評価機能を果たすこと。

(3) 提出された議案の審議又は審査並びに独自の政策形成機能及び政策提言機能の充実強化を図ること。

(4) 市民への説明責任を果たすとともに、議会活動への市民参加を推進すること。

(5) 市民の意見を的確に把握し、市政及び議会活動に反映させること。

(6) この条例に定めるもののほか、議会運営に関する条例、規則等及び議会内での申合せ事項は、適宜見直しを行うこと。

(議員の活動原則)

第3条 議員は、次に掲げる原則に基づいて活動するものとする。

(1) 議会は言論の府であり、多様な民意を反映する議論が保障されることから、議員間の自由な討議を重んじること。

(2) 市政の課題全般について、市民の意見を的確に把握するとともに、自らの資質の向上に努め、市民の代表者としてふさわしい活動を行うこと。

(3) 議会活動について、市民に対して説明責任を果たすこと。

(4) 法令遵守を推進し、地域活動にも積極的に参加すること。

(会派)

第4条 議員は、議会活動を行うため、2人以上で会派を結成することができる。

2 会派は、政策を中心とした同一の理念を有する議員で構成し、政策立案、政策決定等に関し、合意形成に努めるものとする。

第3章 市民と議会の関係

(市民参加の機会確保と公開)

第5条 議会は、市民が議会活動に参加する機会の確保に努めなければならない。

2 議会は、議会における会議を原則公開とする。

3 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)に規定する公聴会制度及び参考人制度を活用し、議会の審議に反映するよう努めるものとする。

4 議会は、請願及び陳情を市民による政策提案と位置づけるとともに、その審議においては、これら提案者の意見を聴く機会を設けるように努めるものとする。

(議決責任等)

第6条 議会は、議決責任を深く認識するとともに、議案等を議決し、自治体としての意思決定又は政策決定をしたときは、市民に対して説明する責務を有する。

2 議会は、議会運営に関し、市民に対して説明する責務を有する。

(議会報告会の開催)

第7条 議会は、市政の諸問題に対処するため、市政全般にわたって、議員及び市民が自由に情報及び意見を交換する議会報告会を、開催するものとする。

2 議会報告会に関し必要な事項は、別に議長が定める。

(広報広聴の充実)

第8条 議会は、広報広聴機能の充実のため、議員で構成する議会広報のための委員会を設置する。

2 議会は、多様な手段を活用することにより、市民が議会と市政に関心を持つよう議会の広報活動の充実に努める。

第4章 行政と議会の関係

(市長等執行機関との関係)

第9条 議会は、市長その他の執行機関及びその補助職員(以下「市長等」という。)との関係は、次に掲げるところにより、緊張関係の保持に努めなければならない。

(1) 会議における議員と市長等の一般質問の方法は、総括方式、一問一答方式又は折衷方式を選択できるものとする。

(2) 議長から会議又は委員会への出席を要請された市長等は、議長又は委員長の許可を得て、議員の質問に対して反問することができる。

(3) 議員は、全員協議会等において他の議員の一定数の賛同を得た上で、議長を経由して市長等に対し文書質問を行うことができる。この場合において、市長等に文書により回答を求めるものとする。

(4) 議会は、議員が行う市長等への口頭による要請に対して、両者の関係の透明性を図るため、日時、要請内容、対応、経過等を記録した文書を作成するよう市長等に求めるものとする。

(議会審議における論点情報の形成)

第10条 議会は、市長から市民生活に重要な影響を与える計画、政策、施策、事業等(以下「重要な政策等」という。)を含む議案が提案されたときは、議会審議における論点情報を形成し、その政策水準を高めることに資するため、市長に対し、次に掲げる事項について明らかにするよう求めるものとする。

(1) 重要な政策等を必要とする背景

(2) 他の自治体の類似する政策との比較検討

(3) 市民参加の実施の有無とその内容

(4) 総合計画との整合性

(5) 財源措置

(6) 将来にわたる効果及び費用

2 議会は、予算及び決算の審議に当たっては、前項の規定に準じて、施策又は事業ごとの分かりやすい説明を市長に求めるものとする。

(平28条例53・一部改正)

(任意的議決事項)

第11条 法第96条第2項の議会の議決事件は、総合計画の基本構想及び基本計画の策定又は変更とする。

2 前項に定めるもののほか、法律等の規定に基づく計画等並びに基本構想及び基本計画に基づく計画(いずれも計画期間が概ね3年以上のもの。)の策定又は変更のうち、市長と協議の上、特に重要であると認められるもの。

(平26条例40・全改)

第5章 議会の機能強化

(議会の機能強化)

第12条 議会は、市長等の事務の執行の監視及び評価に関する議会の機能を充実させるように努める。

2 議会は、条例の提案、議案の修正、決議等を通じて、積極的に政策立案及び政策提言を行うように努める。

(自由討議による合意形成)

第13条 議会は、言論の府であることを十分認識し、議長は、市長等に対する会議等への出席要請を必要最小限にとどめ、議員相互間の自由討議を中心に運営するものとする。

2 議会は、会議及び委員会において、提出議案又は市民提案に関して審議する場合は、議員相互間の議論を尽くして合意形成に努める。

(委員会活動)

第14条 議会は、市政の課題に迅速かつ的確に対応するため、委員会(天草市議会委員会条例(平成18年天草市条例第280号)に規定する常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会をいう。以下同じ。)を機動的に開催し、その機能を十分に発揮するように努める。

2 常任委員会は、所管事務に関する調査を積極的に行うものとする。

3 委員会審査に当たっては、資料等を積極的に公開しながら市民に対し、分かりやすい議論を行うように努める。

4 委員会は、地域住民にかかわりが深く、かつ関心の高い事案については、必要に応じて当該地域において開催できるものとする。

(政策討論会)

第15条 市政に関する重要な政策又は課題に対して、議会としての共通認識の醸成を図り、多面的な議論を尽くして合意形成を得るために、政策討論会を開催できるものとする。

2 政策討論会に関し必要な事項は、別に議長が定める。

第6章 議会及び議会事務局の体制整備

(議員研修の充実)

第16条 議会は、議員の政策形成能力等の向上を図るため、議員研修の充実強化に努める。

2 議会は、議員研修の充実強化に当たり、広く各分野の専門家、市民等を招いて、議員研修会を開催できるものとする。

(政務活動費)

第17条 議員は、先進地の行政視察や地方行政に関する専門的な知見を習得するための調査研究その他の活動に交付される政務活動費の執行に当たって、天草市議会政務活動費の交付に関する条例(平成18年天草市条例第322号)及び施行規則を遵守しなければならない。

2 政務活動費に関する書類の保管期限及び閲覧請求に関しては、天草市情報公開条例(平成18年天草市条例第18号)の規定により、議員は真摯に対応するとともに、同条例に規定する個人情報は公開の対象から除く。

(平25条例18・一部改正)

(議会事務局の体制整備)

第18条 議長は、議員の政策形成及び立案を補助する組織として、議会事務局の調査・法務機能の充実強化に努める。

(議会図書室の整備)

第19条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を図るため、図書の充実に努める。

第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇

(議員の政治倫理)

第20条 議員は、市民全体の代表者としてその倫理性を常に自覚するとともに、天草市議会議員政治倫理条例(平成21年天草市条例第24号)を規範とし、遵守しなければならない。

(議員定数)

第21条 議員定数の改正に当たっては、単に人口減少や行財政改革の視点と他市との比較だけではなく、市政の現状及び課題並びに将来の予測及び展望を十分に考慮するとともに、市民の意見を聴取するよう努めるものとする。

(議員報酬)

第22条 議員報酬の改正に当たっては、議員が提案する場合は、行財政改革の視点と他市との比較だけではなく、市政の現状及び課題並びに将来の予測及び展望を十分に考慮するとともに、市民の意見を聴取するよう努めるものとする。

第8章 最高規範性及び見直し手続き

(最高規範性)

第23条 この条例は、議会における最高規範であって、議会は、この条例の趣旨に反する議会の条例、規則等を制定してはならない。

2 議会は、議員にこの条例の理念を浸透させるため、一般選挙を経た任期開始後速やかに、この条例の研修を行うものとする。

(見直し手続き)

第24条 議会は、一般選挙を経た任期開始後、できるだけ速やかに、この条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において検討するものとする。

2 議会は、前項による検討の結果に基づいて、この条例の改正を含む適切な措置を講じるものとする。

3 議会は、この条例を改正する場合は、会議において、改正の理由及び背景を詳しく説明するものとする。

(議会改革の推進)

第25条 議会は、議会運営に関する不断の評価と改善を行い、議会改革に継続的に取り組むものとする。

(施行期日)

1 この条例は、平成24年4月1日から施行する。

(関係条例の廃止)

2 天草市議会の議決に付すべき事件に関する条例(平成23年天草市条例第21号)は、廃止する。

(平成25年条例第18号)

この条例は、公布の日から施行し、改正後の天草市議会基本条例の規定は、平成25年3月1日から施行する。

(平成26年条例第40号)

この条例は、公布の日から施行する。

(平成28年条例第53号)

この条例は、公布の日から施行する。

天草市議会基本条例

平成24年3月29日 条例第24号

(平成28年12月27日施行)

体系情報
第2編 会/第1章
沿革情報
平成24年3月29日 条例第24号
平成25年3月28日 条例第18号
平成26年12月25日 条例第40号
平成28年12月27日 条例第53号