○天草市長及び副市長政治倫理条例
平成21年3月26日
条例第8号
(目的)
第1条 この条例は、市政が市民の厳粛な信託によるものであることを認識し、市長及び副市長(以下「市長等」という。)の政治倫理に関する規律の基本となる事項を定めることにより、誠実かつ公正にその職務を行うべきことを促すとともに、市民も市政に対する正しい認識及び自覚を持ち、清浄で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。
(市長等及び市民の責務)
第2条 市長等は、市民全体の奉仕者としての職責を自覚し、地方自治の本旨に従って、その使命の達成に努めなければならない。
2 市民は、自らも市政を担い公共の利益を実現する責任を有することを自覚し、自己の利益を図る目的をもって市長等に対し、その地位による影響力を不正に行使させるような働きかけを行ってはならない。
(政治倫理基準)
第3条 市長等は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。
(1) 市が行う許可、認可又は請負その他の契約に関し、特定の企業、団体等のために有利な取計らいをしないこと。
(2) 政治活動に関し、企業、団体等から政治的又は道義的批判を受けるおそれのある寄附等を受けないものとし、その後援団体についても同様に措置すること。
(3) その地位及び肩書を利用し、又はその地位に伴う影響力の行使によって金品その他いかなる財産上の利益も求め、又は授受しないこと。
(4) 職員の公正な人事を確保するため、その採用について推薦、紹介等有利な取計らいをしないこと。
(5) 職務の遂行に当たり廉潔及び公平を損なうような一切の行為を慎み、不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。
2 市長等は、政治倫理基準に反する行為があるとの疑惑を持たれたときは、自ら誠実な態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明らかにするよう努めなければならない。
(市民の調査請求権)
第4条 市民は、市長等が前条に規定する政治倫理基準に違反する疑いがあると認めるときは、これを証する資料を添え、有権者の総数の50分の1以上の者の連署をもって、市長に調査を請求することができる。
2 市長は、前項の規定により調査の請求を受けたときは、速やかに、天草市政治倫理審査会に審査を求めなければならない。
3 市民は、個人の利益又は特定の政治的な目的のために第1項に規定する請求権を行使してはならない。
(政治倫理審査会の設置)
第5条 前条第2項の規定による審査の求めに応じ、調査審議するため、天草市政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。
3 市長は、第1項の審査結果報告書を公表しなければならない。
4 審査会は、第1項の審査を行うため、関係人からの事情聴取、資料提供等必要な調査を行うことができる。
(審査会の組織)
第7条 審査会は、委員5人以内をもって組織する。
2 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 識見を有する者
(2) 前号に掲げるもののほか、市長が適当と認める者
(委員の任期等)
第8条 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。
2 委員が欠けた場合の補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(会長及び副会長)
第9条 審査会に会長及び副会長1人を置く。
2 会長及び副会長は、委員の互選により定める。
3 会長は、会務を総理し、審査会を代表する。
4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。
(会議)
第10条 審査会の会議は、会長が招集する。
2 会長は、会議の議長となる。
3 審査会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。
4 審査会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
5 前項の場合において、議長は、委員として議決に加わることができない。
6 審査会の会議は、公開するものとする。ただし、やむを得ず非公開とするときは、出席委員の3分の2以上の同意を要する。
(資産等報告書の提出)
第11条 審査会は、事案の解明のため必要があると認めるときは、市長等に資産等報告書の提出を求めることができる。
(市長等の協力義務)
第12条 市長等は、審査会の要求があるときは、審査に必要な資料を提出し、又は会議に出席して意見を述べなければならない。
(虚偽報告等の公表)
第13条 審査会は、市長等が資産等報告書若しくは審査会が要求する審査に必要な資料の提出を遅延し、虚偽の報告をし、若しくは提出しなかったとき、又は意見陳述のため会議に出席しない等調査に協力しなかったときは、その旨を公表するものとする。
(庶務)
第14条 審査会の庶務は、総務部秘書課において処理する。
(収賄罪等起訴後の説明)
第15条 市長等が、刑法(明治40年法律第45号)第197条から第197条の4まで及び第198条に定める罪により起訴され、なお引き続きその職にとどまろうとするときは、その理由を市民に説明するため、起訴された日の翌日から起算して50日以内に説明会の開催を市長に求めることができる。この場合において、市長は、説明会を開催しなければならない。
2 市民は、前項の説明会において、市長等に質問することができる。
(収賄罪等確定後の措置)
第16条 市長等が前条第1項に規定する罪について有罪の判決が確定したときは、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第11条第1項の規定により失職する場合を除き、市長は、その名誉及び品位を守り市民の信頼を回復するために必要な措置を講じなければならない。
(市の工事等に関する事項)
第17条 市長等の配偶者、2親等以内の親族及び住民登録上の同居者は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第142条及び第166条第2項の規定の趣旨を尊重し、市民に対し疑惑の念を生じさせないよう市工事等の請負契約(下請負を含む。)、委託契約及び一般物品納入契約を辞退するよう努めなければならない。
(委任)
第18条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
この条例は、平成21年4月1日から施行する。