○天草市環境基本条例
平成18年12月26日
条例第337号
天草市は、有明海、八代海そして東シナ海に囲まれた、風光明媚な天草上島、天草下島及び御所浦島に位置する、自然環境にも恵まれた歴史と文化のまちである。
このような豊かな自然の下、文化の薫るまち、産業の栄えるまちとして、今日まで育んできた先人たちの功績は、私たちにとってかけがえのない資産であり誇りである。
しかしながら、近年、環境への配慮に欠けた物質的な豊かさや利便性の追求によって、環境の汚染や自然の破壊がもたらせられている。
そして、それは、今や地域的なものから地球規模へと拡大し、このまま推移すれば、かけがえのない人類の生存基盤さえ脅かされることにもなりかねない状況である。
多くの命を育んできた恵み豊かな地球をかけがえのないものとして守り、その恩恵を享受するとともに、次世代へと引き継いでいかなければならない。
私たちは、それぞれの責任と役割に応じて、主体的にそして共に手を携えて良好な環境の保全と創造を図り、持続的に発展することのできる地域社会を築かねばならない。
ここに、天草市の健全で恵み豊かな環境の享受を維持していくため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、環境の保全、回復及び創造(以下「環境の保全等」という。)について基本理念を定め、市、市民等(市内に居住し、若しくは滞在し、又は市内を通過する者をいう。以下同じ。)及び事業者の責務を明らかにするとともに、環境の保全等に関する施策の基本となる事項を定め、その施策を総合的かつ計画的に推進し、もって市民等が健康で文化的な生活を営むことができる良好な環境の確保を図ることを目的とする。
(基本理念)
第2条 環境の保全等は、次に掲げる基本理念(以下「基本理念」という。)により行わなければならない。
(1) 市民等が健康で文化的な生活を営む上で必要な健全で恵み豊かな環境を確保し、これを将来の世代へ継承して行くこと。
(2) 人と自然との共生が将来にわたって維持されること。
(3) 市、市民等及び事業者が、環境の保全等について、公平な役割分担の下に、自主的かつ積極的な取組を行うこと。
(4) 環境への負荷が少なく持続的に発展することが可能な社会の構築に努めること。
(5) 地球環境の保全は、市、市民等及び事業者が自らの課題としてとらえ、すべての事業活動及び日常生活において積極的に推進すること。
(市の責務)
第3条 市は、基本理念にのっとり、環境の保全等に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(市民等の責務)
第4条 市民等は、基本理念にのっとり、その日常生活に伴う環境への負荷の低減その他環境の保全等に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全等に関する施策に協力する責務を有する。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全等に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全等に関する施策に協力する責務を有する。
(施策の策定に係る基本方針)
第6条 市は、環境の保全等に関する施策の策定及び実施に当たっては、基本理念にのっとり、次に掲げる事項を確保するため、各種の施策相互の有機的な連携を図るとともに、総合的かつ計画的に行わなければならない。
(1) 市民等の健康が保護され、生活環境が保全され、及び自然環境が適正に保全されるよう、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持されること。
(2) 生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他生物の多様性の確保が図られること。
(3) 森林、農地、水辺地等における多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全されること。
(4) 人と自然との豊かな触れ合いが保たれ、潤いと安らぎのある快適な環境が保全されること。
(5) 歴史的及び文化的遺産を保持し、その活用を図るとともに、地域の特性を生かした景観が保全されること。
(環境基本計画の策定等)
第7条 市長は、環境の保全等に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、天草市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を次に掲げる事項について定めなければならない。
(1) 環境の保全等に係る総合的かつ長期的な施策の大綱に関すること。
(2) 環境の保全等に係る目標及び基本方針に関すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、環境の保全等に係る重要な事項に関すること。
2 市長は、環境基本計画を定めるときは、市民等及び事業者の意見を反映させるための措置を講ずるとともに、天草市環境審議会の意見を聴かなければならない。
3 前項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
(施策の策定に当たっての配慮)
第8条 市は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図り、環境の保全等について配慮しなければならない。
(環境の保全等に関する教育、学習等)
第9条 市は、市民等及び事業者が自ら環境の保全等についての理解を深め、環境の保全等に関する活動を促進するようにするため、これらの者に対し、環境の保全等に関する学習の機会を提供するとともに、環境の保全等に関する広報活動を充実するよう努めるものとする。
(市民等等の自発的な活動の促進)
第10条 市は、市民等、事業者又はこれらの者の組織する民間団体による環境の保全等に関する自発的な活動が促進されるための必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(情報の提供)
第11条 市は、環境の保全等に関する教育、学習及び民間団体の活動の促進に資するため、必要な情報を適切に提供するよう努めるものとする。
(地球環境の保全の推進)
第12条 市は、地球温暖化の防止、オゾン層の保護等の地球環境の保全に資する施策の推進を図るものとする。
2 市は、市民等及び事業者と連携し、環境の保全等に関する情報の提供を行うことにより、地球環境の保全に関する施策の推進を図るものとする。
(審議会の設置)
第13条 環境基本計画その他良好な環境の確保に関する重要な事項について調査審議するため、天草市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(所掌事務)
第14条 審議会は、市長から諮問のあった事項について調査審議し、市長に答申するとともに、市長に必要な意見を述べることができる。
(組織)
第15条 審議会は、委員15人以内をもって組織する。
2 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 識見を有する者
(2) 前号に掲げるもののほか、市長が適当と認める者
(委員の任期)
第16条 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。
2 委員が欠けた場合の補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(会長及び副会長)
第17条 審議会に会長及び副会長1人を置く。
2 会長及び副会長は、委員の互選により定める。
3 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。
(会議)
第18条 審議会の会議は、会長が招集する。
2 会長は、会議の議長となる。
3 審議会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。
4 審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
5 前項の場合において、議長は、委員として議決に加わることができない。
(意見の聴取)
第19条 審議会は、関係者の意見を聴取する必要があると認めるときは、関係者の出席を求めることができる。
(庶務)
第20条 審議会の庶務は、市民生活部市民環境課において処理する。
(平24条例37・平27条例2・令2条例20・一部改正)
(委任)
第21条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(本渡市環境基本条例の廃止)
2 本渡市環境基本条例(平成15年本渡市条例第9号)は、廃止する。
附則(平成24年条例第37号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成25年4月1日から施行する。
附則(平成27年条例第2号)
この条例は、平成27年4月1日から施行する。
附則(令和2年条例第20号)
この条例は、令和2年4月1日から施行する。