○天草市文化財保護条例

平成18年3月27日

条例第118号

(目的)

第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)及び熊本県文化財保護条例(昭和51年熊本県条例第48号。以下「県条例」という。)の規定による指定を受けた文化財以外の文化財で、市の区域内に存するもののうち、市にとって重要なものを指定して、その保存及び活用のため必要な措置を講じ、もって市民の文化的向上に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「文化財」とは、法第2条第1項第1号から第6号までに掲げる有形文化財、無形文化財、民俗文化財、記念物、文化的景観及び伝統的建造物群をいう。

(財産権の尊重及び他の公益との調整)

第3条 天草市教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、この条例の施行に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に注意しなければならない。

(指定)

第4条 教育委員会は、市の区域内に存する文化財(法及び県条例の規定により指定されたものを除く。)のうち、市にとって重要なものを天草市指定文化財(以下「市指定文化財」という。)に指定することができる。

2 教育委員会は、前項の規定による指定又は第4項の規定による認定をしようとするときは、あらかじめ、天草市文化財保護審議会に諮問しなければならない。

3 教育委員会は、第1項の規定による指定をするに当たっては、あらかじめ指定しようとする当該有形文化財、民俗文化財及び記念物の所有者及び権原に基づく占有者の同意を得なければならない。ただし、所有者又は権原に基づく占有者が判明しない場合は、この限りでない。

4 教育委員会は、第1項の規定による無形文化財の指定をするに当たっては、当該無形文化財の保持者を認定しなければならない。

(告示、通知及び指定書)

第5条 前条の規定による指定は、その旨を告示するとともに、当該文化財の所有者、権原に基づく占有者及び保持者として認定しようとする者に通知して行う。

2 前条の規定による指定は、前項の規定による告示があった日からその効力を生ずる。

3 前条第1項の規定による指定をしたときは、教育委員会は、当該市指定文化財の所有者又は保持者に指定書を交付しなければならない。

(解除)

第6条 市指定文化財が市の区域内に存在しなくなったとき、又は市指定文化財としての価値を失ったとき、その他特殊の理由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。

2 前項の規定による指定の解除は、その旨を告示するとともに、当該市指定文化財の所有者、権原に基づく占有者及び保持者に通知して行う。

3 第1項の規定による解除は、前項の規定による告示があった日からその効力を生ずる。

4 市指定文化財の指定の解除の通知を受けたときは、所有者又は保持者は、指定書を速やかに教育委員会に返付しなければならない。

5 教育委員会は、第1項の規定による指定の解除をしようとするときは、あらかじめ、天草市文化財保護審議会に諮問しなければならない。

(管理)

第7条 市指定文化財の所有者は、この条例並びにこれに基づいて定められる教育委員会規則及び教育委員会の指示に従い、当該市指定文化財の管理に当たるものとする。ただし、特別の理由があるときは、他の適当な管理の責任を有すべき者(以下「管理責任者」という。)を選任し、管理に当たらせることができる。

2 市指定文化財の所有者は、前項の規定による管理責任者を選任したときは、当該管理者と連署の上、速やかに教育委員会に届け出なければならない。管理責任者を解除した場合も、同様とする。

3 第1項の規定による所有者又は管理責任者は、正当な理由なくしてその管理及び管理のための必要な措置を拒み、妨げ、又は忌避してはならない。

4 市指定文化財の管理に要する経費は、この条例に定めるもののほか、所有者の負担とする。

(所有者又は管理責任者の変更)

第8条 市指定文化財の所有者が変更したときは、新所有者は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

2 市指定文化財の所有者は、当該市指定文化財を譲渡しようとするときは、あらかじめ教育委員会に協議するものとする。

3 市指定文化財の管理責任者を変更しようとするときは、所有者は、新管理責任者と連署の上、その旨を速やかに教育委員会に届け出なければならない。

4 市指定文化財の所有者又は管理責任者がその氏名若しくは名称又は住所を変更したときは、第1項又は前項の規定を準用する。

(滅失又は損傷)

第9条 市指定の文化財の全部又は一部が滅失し、若しくは損傷したとき、若しくはそのおそれがあるとき、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたときは、所有者(管理責任者がある場合は、その者)は、速やかに教育委員会に届け出なければならない。

(所在の変更)

第10条 市指定文化財の所在の場所を変更しようとするときは、所有者(管理責任者がある場合は、その者)は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(土地の所在等の異動)

第11条 市指定文化財の指定地域内の土地について、その土地の所在地番、地目又は地積に異動があったときは、所有者(管理責任者がある場合は、その者)は、速やかに教育委員会に届け出なければならない。

(現状変更の制限)

第12条 市指定文化財の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、所有者又は管理責任者は、あらかじめ、教育委員会の許可を受けなければならない。

2 教育委員会は、前項の許可を与える場合において、その許可の条件として、市指定文化財の現状又はその保存に影響を及ぼす行為に関し必要な指示をすることができる。

3 第1項の許可を受けた者が前項の許可の条件に従わなかったときは、教育委員会は、当該許可に係る現状の変更若しくは保存に影響を及ぼす行為の停止を命じ、又は当該許可を取り消すことができる。

(管理、修理又は復旧に関する勧告)

第13条 市指定文化財の管理が適当でないため、当該市指定文化財が滅失し、損傷し、又は盗みとられるおそれがあると認めるときは、教育委員会は、所有者又は管理責任者に対し、管理方法の改善、保存施設の設置その他管理に関し必要な措置を勧告することができる。

2 市指定文化財が損傷している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、教育委員会は、所有者又は管理責任者に対し、その修理又は復旧について必要な勧告をすることができる。

(修理の届出)

第14条 市指定文化財を修理しようとするときは、所有者又は管理責任者は、あらかじめ教育委員会に届け出なければならない。この場合において、修理が完了したときは、速やかにその旨を届け出なければならない。

2 市指定文化財の保護上必要があると認めるときは、教育委員会は、前項の届出に係る修理に関し、技術的な指導及び助言を与えることができる。

(調査及び報告)

第15条 教育委員会は、必要があると認めるときは、市指定文化財の所有者又は管理責任者の同意を得て、当該市指定文化財を調査することができる。

2 教育委員会は、必要があると認めるときは、市指定文化財の所有者又は管理責任者に対し、当該市指定文化財の管理の現状又は修理若しくは復旧につき報告を求めることができる。

(公開及び出品)

第16条 教育委員会は、教育委員会が行う公開の用に供するため、市指定文化財の所有者、管理責任者又は保持者に対し、その文化財の出品及びその記録の公開を求めることができる。

2 前項に規定する場合のほか、市指定文化財を公開又は出品しようとするときは、教育委員会に届け出なければならない。

(保存)

第17条 教育委員会は、市指定の無形文化財のうち、衰亡のおそれがあるものについては、保持者又はその保存に当たることを適当と認める者に対し、資材のあっせんその他の助成を講ずることができる。

(補助)

第18条 市は、次の各号のいずれかに該当する場合は、その経費の一部に充てさせるため、当該市指定文化財の所有者又は管理責任者に対し、予算の範囲内で補助金を交付することができる。この場合においては、教育委員会は、補助の条件として管理、修理、復旧若しくは保存(以下「修理等」という。)に関し必要な事項を指示し、又は必要があると認めるときは、これらについて指揮監督することができる。

(1) 市指定文化財の修理又は復旧につき多額の経費を要し、所有者又は管理責任者がその負担に堪えない場合

(2) 第13条の規定による勧告に基づく措置のため経費を要する場合

(3) 前条の規定による助成を行う場合

2 前項の規定により補助金の交付を受けた者が条例に基づいて付した条件に違反したときは、市は、当該所有者又は管理責任者に対し、補助金の全部又は一部の返還を命ずることができる。

(有償譲渡の承認)

第19条 市が前条の規定により補助金を交付した市指定文化財のその当時における所有者又はその相続人若しくは受贈者は、補助に係る修理等が行われた後当該市指定文化財を有償で譲り渡そうとするときは、教育委員会の承認を得なければならない。

(委任)

第20条 この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。

(罰則)

第21条 市指定有形文化財を損壊し、損傷し、又は隠匿した者は、5万円以下の罰金又は科料に処する。

第22条 市指定記念物の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をして、これを滅失し、損傷し、又は衰亡するに至らしめた者は、5万円以下の罰金又は科料に処する。

第23条 第12条の規定に違反して、教育委員会の許可を受けず、若しくは許可の条件に従わないで、市指定有形文化財若しくは市指定記念物の現状を変更し、若しくはその保存に影響を及ぼす行為をし、又は教育委員会の現状の変更若しくは保存に影響を及ぼす行為の停止の命令に従わなかった者は、3万円以下の罰金又は科料に処する。

第24条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従事者がその法人又は人の業務又は財産の管理に関し、前3条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

(施行期日)

1 この条例は、平成18年3月27日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日(以下「施行日」という。)の前日までに、合併前の本渡市文化財保護条例(昭和50年本渡市条例第9号)、牛深市文化財保護条例(昭和48年牛深市条例第5号)、有明町文化財保護条例(昭和52年有明町条例第9号)、御所浦町文化財保護条例(昭和49年御所浦町条例第11号)、倉岳町文化財保護条例(昭和51年倉岳町条例第25号)、栖本町文化財保護条例(昭和48年栖本町条例第312号)、新和町文化財保護条例(昭和47年新和町条例第25号)、五和町文化財保護条例(昭和42年五和町条例第38号)、天草町文化財保護条例(昭和48年天草町条例第14号)又は河浦町文化財保護条例(昭和50年河浦町条例第4号)(以下これらを「合併前の条例」という。)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、それぞれこの条例の相当規定によりなされたものとみなす。

(罰則に関する経過措置)

3 施行日の前日までにした行為に対する罰則の適用については、なお合併前の条例の例による。

天草市文化財保護条例

平成18年3月27日 条例第118号

(平成18年3月27日施行)