○天草市景観条例

平成20年10月6日

条例第55号

目次

第1章 総則(第1条―第5条)

第2章 景観計画(第6条)

第3章 行為の規制等(第7条―第10条)

第4章 公共事業等における景観形成(第11条・第12条)

第5章 景観重要建造物等(第13条・第14条)

第6章 市民等の景観形成活動(第15条―第19条)

第7章 支援等(第20条・第21条)

第8章 天草市景観審議会(第22条―第30条)

第9章 雑則(第31条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、天草市における良好な景観の形成に関する市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)の規定に基づく景観計画の策定及び行為の規制等に関し必要な事項並びに景観形成のための活動の促進に関する事項を定めることにより、景観の保全及び創造を図り、天草らしい良好な景観を将来へ引き継ぐことを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 景観形成 良好な景観を保全し、又は創造することをいう。

(2) 建築物等 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物(塀を除く。以下「建築物」という。)及び建築物以外の工作物で規則で定めるもの(以下「工作物」という。)をいう。

(3) 景観形成地域 次のいずれかに該当する地域のうち、市域の景観形成上重要な地域として第6条の景観計画で定める地域をいう。

 景観づくりを住民主体で目指す地域

 豊かな自然景観を有する地域

 天草固有の文化的景観を有する地域

 良好な景観を創出すべき地域

 主要な幹線道路の周辺地域

 河川、海岸及びその周辺の地域

(4) 特定施設届出地区 市域において、建築物、工作物等が集積し、又は集積すると予想される区域のうち、景観形成を図る必要がある幹線道路(道路法(昭和27年法律第180号)第3条各号に規定する道路並びに都市計画法(昭和43年法律第100号)第4条第6項に規定する都市計画施設である道路及び広場をいう。)の沿道の区域であって第6条の景観計画で定める区域をいう。

(5) 特定施設 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第1項第7号及び第8号並びに同条第6項第4号に規定する営業を行うための施設、危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第3条第1号に規定する給油取扱所(専ら自家用に供するものを除く。)、広告塔及び広告板その他当該地区の景観を構成するうえで重要な要素となる施設及び設備で規則で定めるものをいう。

(6) 大規模行為 次に掲げる行為をいう。

 建築物で、その高さ又は建築面積が規則で定める規模を超えるものの新築、増築(増築により新たに当該規則で定める規模を超えることとなる場合の当該増築を含む。以下この号において同じ。)、改築(改築により新たに当該規則で定める規模を超えることとなる場合の当該改築を含む。以下この号において同じ。)、移転及び撤去、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替並びに色彩の変更

 工作物で、その高さ(工作物が建築物と一体となって設置される場合にあっては、当該建築物の高さとの合計の高さとする。)又はその敷地の用に供する土地の面積が規則で定める規模を超えるものの新築、増築、改築、移転及び撤去、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替並びに色彩の変更

 さく及び塀で、高さ及び長さが規則で定める規模を超えるものの新築、増築、改築、移転及び撤去、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替並びに色彩の変更

 地形の外観の変更を伴う鉱物の掘採及び土石の採取で、地形の外観の変更に係る土地の面積が規則で定める面積を超えるもの又は高さ及び長さが規則で定める規模を超えるのり面若しくは擁壁を生じるもの

 土地の区画形質の変更(土地の開墾及び水面の埋立て又は干拓を含む。以下同じ。)で、変更に係る土地の面積が規則で定める面積を超えるもの又は高さ及び長さが規則で定める規模を超えるのり面若しくは擁壁を生じるもの

(市の責務)

第3条 市は、景観形成に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、積極的に実施するよう努めるものとする。

2 市は、前項の規定による施策の策定及び実施に当たっては、市民、事業者及び専門家の意見が反映されるよう努めるものとする。

3 市は、景観形成に関する啓発、知識の普及及び意識の高揚を図るため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(市民の責務)

第4条 市民は、景観形成に関する理解を深め、積極的に役割を果たすとともに、市が実施する景観形成に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、土地利用等の事業活動が景観形成に積極的に寄与するよう努めるとともに、市が実施する景観形成に関する施策に協力するよう努めるものとする。

第2章 景観計画

第6条 景観形成を総合的かつ計画的に推進するため、景観計画(法第8条第1項に規定する景観計画をいう。以下同じ。)を定めるものとする。

2 景観計画においては、次条第2項各号に掲げる行為に係る景観形成のための行為の制限に関する事項について定めることができる。

第3章 行為の規制等

(届出行為等)

第7条 法第16条第1項の規定による届出の対象となる行為(同項第4号の規定により条例で定める行為を含む。)は、次に掲げる行為とする。

(1) 景観形成地域における次に掲げる行為

 建築物等の新築、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更

 木竹の伐採

 屋外における土石、廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。)、再生資源(資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号)第2条第4項に規定する再生資源をいう。)その他の物件の堆積

 鉱物の掘採又は土石の採取

 土地の区画形質の変更

(2) 特定施設届出地区における特定施設及び同一敷地内でこれに附帯する施設でその敷地の全部又は一部が特定施設届出地区に係るものの新築、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更(前号に規定する行為を除く。)

(3) 景観形成地域を除く景観計画区域(景観計画において定める景観計画の区域をいう。以下同じ。)内における大規模行為(前号に規定する行為を除く。)のうち建築物等の撤去以外の行為

2 次に掲げる行為をしようとする者は、その旨を市長に届け出なければならない。

(1) 景観形成地域における次に掲げる行為

 建築物等の撤去

 屋外における自動販売装置の設置

 広告物(屋外広告物法(昭和24年法律第189号)第2条第1項に規定する屋外広告物及びこれに類するもので屋内から屋外の公衆に向けて表示されるものをいう。)の設置及び外観の変更

(2) 特定施設届出地区における特定施設及び同一敷地内でこれに附帯する施設でその敷地の全部又は一部が特定施設届出地区に係るものの撤去(前号に規定する行為を除く。)

(3) 景観形成地域を除く景観計画区域内における大規模行為(前号に規定する行為を除く。)のうち建築物等の撤去

3 前項の規定による届出をした者は、当該届出に係る事項を変更しようとするときは、当該変更により、第9条第2項に掲げる行為に該当することとなる場合を除き、その旨を市長に届け出なければならない。

4 第1項の届出及び前2項の規定による届出に関し必要な事項は、規則で定める。

5 市長は、第2項及び第3項の規定による届出があった場合において、当該届出に係る行為が景観計画に定められた当該行為についての制限に適合しないと認めるときは、当該届出をした者に対し、規則で定めるところにより、設計の変更その他の必要な措置をとるよう勧告することができる。

6 前項の勧告は、第2項又は第3項の規定による届出があった日から30日以内にしなければならない。

7 法第16条第2項の規定による変更の届出は、当該変更が同条第3項の勧告に従うことにより生じるとき、又は法第17条第1項の規定による命令に従うことにより生じるときは、することを要しない。

8 第3項の規定による変更の届出は、当該変更が第5項の勧告に従うことにより生じたときは、することを要しない。

(国、地方公共団体等の特例)

第8条 国の機関又は地方公共団体が行う行為については、前条第2項及び第3項の規定による届出をすることを要しない。

2 規則で定める公共的団体が行う行為については、前条第2項及び第3項の規定による届出をすることを要しない。

(適用除外)

第9条 法第16条第7項第11号の条例で定める行為は、第7条第1項に規定する行為以外の行為及び次に掲げる行為とする。

(1) 景観形成地域における通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるもの

(2) 特定施設届出地区における行為で規則で定めるもの

(3) 大規模行為に係る通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるもの

2 第7条第2項及び第3項の規定は、前項各号に掲げる行為については、適用しない。

(特定届出対象行為)

第10条 法第17条第1項の条例で定める行為は、第7条第1項の規定により届出を要する行為のうち、法第16条第1項第1号及び第2号に掲げる行為とする。

第4章 公共事業等における景観形成

(公共事業等景観形成指針)

第11条 市長は、公共事業、公共施設の建築等で市域の景観形成に著しい影響を及ぼすもの(以下「公共事業等」という。)について景観形成のための指針(以下「公共事業等景観形成指針」という。)を定めるものとする。

(公共事業等景観形成指針の遵守等)

第12条 市は、公共事業等を行うときは、公共事業等景観形成指針を遵守するものとする。

2 市長は、国、他の地方公共団体及び規則で定める公共的団体が公共事業等を行うときは、公共事業等景観形成指針に配慮するよう要請することができる。

第5章 景観重要建造物等

(景観重要建造物の管理の方法の基準)

第13条 法第25条第2項の規定により条例で定める管理の方法の基準は、次に掲げるとおりとする。

(1) 景観重要建造物の外観について、腐食その他の劣化を防止する措置を講ずること。

(2) 景観重要建造物に消火器、消火栓その他必要な消火設備を設けること。

(3) 前2号に掲げるもののほか、景観重要建造物の良好な景観の保全のために必要と認める措置を講ずること。

(景観重要樹木の管理の方法の基準)

第14条 法第33条第2項の規定により条例で定める管理の方法の基準は、次に掲げるとおりとする。

(1) 景観重要樹木の滅失、枯死等を防ぐため、病害虫の予防、駆除等の措置を講ずること。

(2) 景観重要樹木の良好な景観を保全するため、せん定等の管理を行うこと。

(3) 前2号に掲げるもののほか、景観重要樹木の良好な景観の保全のために必要と認める措置を講ずること。

第6章 市民等の景観形成活動

(景観形成住民団体)

第15条 市長は、地域の景観形成に関する活動を目的とし、現にその活動を行っている住民の団体であって規則で定める要件を満たすものを法第11条第2項の条例で定める団体(以下「景観形成住民団体」という。)として認定することができる。

2 市長は、景観形成住民団体が認定の要件に該当しなくなったと認めるときは、当該認定を取り消さなければならない。

(特定事業者との景観形成協定)

第16条 市長は、市域の景観形成を図るうえで必要があると認めるときは、その事業に係る一団の土地の面積が規則で定める面積を超える事業(以下「特定事業」という。)を営み、又は営もうとする者(国の機関、地方公共団体及び規則で定める公共的団体(以下「国等」という。)を除く。)と景観形成に関する協定を締結することができる。

2 前項の協定には、次に掲げる事項のうち必要な事項を定めるものとする。

(1) 協定の名称及び目的並びに協定の対象となる区域に関する事項

(2) 建築物等の位置及び外観並びに敷地の緑化に関する事項

(3) 駐車場等附帯施設の位置及び外観並びに敷地の緑化に関する事項

(4) 協定の有効期間に関する事項

(5) 協定の廃止又は変更の手続に関する事項

(6) その他協定の対象となる区域の景観形成に関し必要な事項

3 市長は、第1項の協定を締結したときは、その内容を公表するものとする。

(景観形成住民協定の認定)

第17条 景観計画区域内における土地(道路、河川、公園その他公共の用に供する土地を除く。)若しくは建築物等を所有し、又は管理する者(国等を除く。)は、一定の区域を定め、当該区域に応じた景観形成を図るため、景観形成に関する協定(以下「景観形成住民協定」という。)を締結し、市長にその認定を申請することができる。

2 景観形成住民協定には、前条第2項各号に掲げる事項のうち必要な事項を定めるものとする。

3 市長は、第1項の規定による景観形成住民協定の認定の申請が、次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、当該景観形成住民協定の認定をすることができる。

(1) 景観形成住民協定の内容が景観形成に資すること。

(2) 相当規模の一団の土地又は道路、河川等に隣接する相当の区間にわたる土地の区域を対象とすること。

(3) 建築物等の形態、意匠、色彩の調和、敷地の緑化その他景観形成に関する事項が定められていること。

(4) 景観形成住民協定の有効期間が5年以上であること。

(5) 景観形成住民協定の対象区域内において、新たに当該景観形成住民協定に参加しようとする者に対し、それを排除するものでないこと。

4 市長は、前項の規定により景観形成住民協定の認定をしたときは、その旨を公表するものとする。

(景観形成住民協定の変更)

第18条 前条第3項の規定による認定を受けた景観形成住民協定を変更しようとするときは、市長の認定を受けなければならない。ただし、規則で定める軽微な変更については、この限りでない。

2 前項ただし書の軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨を市長に届け出なければならない。

3 前条第3項及び第4項の規定は、第1項本文の認定について準用する。

(景観形成住民協定の廃止)

第19条 第17条第3項の規定による認定を受けた景観形成住民協定を廃止したときは、遅滞なく、その旨を市長に届け出なければならない。

2 市長は、前項の規定による届出があったときは、その旨を公表するものとする。

第7章 支援等

(支援)

第20条 市は、景観形成のために必要な措置を講ずる次に掲げるものに対し、必要な技術的支援を行い、又は予算の範囲内において、当該措置のために必要な経費の一部を助成することができる。

(1) 第15条第1項の認定を受けた団体が行う活動

(2) 第16条第1項の協定を締結した特定事業を営む者が行う活動

(3) 第17条第3項の認定を受けた協定に基づく活動

(4) 法第19条第1項の規定により指定した景観重要建造物の保全

(5) 法第28条第1項の規定により指定した景観重要樹木の保全

(6) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める活動

(表彰)

第21条 市長は、景観形成に寄与していると認める建築物等について、その所有者、設計者、施工者等を表彰することができる。

2 前項に掲げるもののほか、市長は、景観形成に貢献していると認める個人又は団体を表彰することができる。

第8章 天草市景観審議会

(審議会の設置)

第22条 景観形成に関する重要事項について調査審議するため、天草市景観審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(所掌事務)

第23条 審議会は、市長の諮問に応じて、次に掲げる事項について調査審議し、市長に答申するとともに、必要な意見を述べることができる。

(1) 景観計画の策定及び変更に関すること。

(2) 法第17条の規定による命令に関すること。

(3) 法第19条第1項及び第28条第1項の指定に関すること。

(4) 前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認める景観形成に係る重要事項に関すること。

(組織)

第24条 審議会は、委員10人以内をもって組織する。

2 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

(1) 識見を有する者

(2) 前号に掲げるもののほか、市長が適当と認める者

(委員の任期)

第25条 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。

2 委員が欠けた場合の補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(会長及び副会長)

第26条 審議会に会長及び副会長1人を置く。

2 会長及び副会長は、委員の互選により定める。

3 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。

4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

(会議)

第27条 審議会の会議は、会長が招集する。

2 会長は、会議の議長となる。

3 審議会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。

4 審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

5 前項の場合において、議長は、委員として議決に加わることができない。

(意見の聴取)

第28条 審議会は、関係者の意見を聴取する必要があると認めるときは、関係者の出席を求めることができる。

(守秘義務)

第29条 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

(庶務)

第30条 審議会の庶務は、建設部都市計画課において処理する。

第9章 雑則

(委任)

第31条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成20年12月1日から施行する。

(天草町の景観を守り育てる条例の廃止)

2 天草町の景観を守り育てる条例(平成元年天草町条例第44号)は、廃止する。

(経過措置)

3 この条例の施行の日の前日までに、天草町の景観を守り育てる条例及び熊本県景観条例(昭和62年熊本県条例第7号)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、この条例の相当規定によりなされたものとみなす。

4 附則第2項の規定による廃止前の天草町の景観を守り育てる条例に基づく地区景観形成基準及び大規模行為景観形成基準並びに熊本県景観条例に基づく景観計画は、第6条の規定により景観計画を定めるまでの間は、同条の規定により定めた景観計画とみなす。

天草市景観条例

平成20年10月6日 条例第55号

(平成20年12月1日施行)

体系情報
第10編 設/第5章 都市計画・公園
沿革情報
平成20年10月6日 条例第55号